大坂屋の独自の技術

わたしたちは「伝統を守りながら、新しい技を生み出す努力を決して怠らない」の考えのもと
日々新しい技に挑戦しています。
その背景や想いを大切にしたく、大坂屋で独自開発した技術をご紹介いたします。

彩色(さいしょく)

彩色とは彫刻部分に鮮やかな色を施した技法です。1990年、4代目土屋強平が軽井沢彫彩色の開発を始めました。その開発の背景には 軽井沢彫は日光彫の影響がありましたが、「日光から伝わってないものがある。それは日光東照宮に見られる豊かな色彩。何とか軽井沢彫に取り入れたい」ということ。そして「現代のインテリアにもマッチする明るい色味の軽井沢彫りを製作したい。」その想いが彩色商品の始まりです。以前の軽井沢彫りは赤茶色や木地色と単色の製品ばかりでした。当初は桜の雄しべの中に色を入れたり、桜の色を白の単色で表現していましたが、試行錯誤を繰り返し、完成した商品が今の淡いピンク色を施した「彩色」の軽井沢彫です。塗師は木地による発色の違いを見極め、その都度色を作り、一輪一輪、グラデーションをつけながら丁寧に仕上げます。天然の木がもつ木目や色味、木地師、彫師、塗師と何人もの職人の手を経て1つとして同じものがない「彩色」の商品が完成します。

開発当初の彩色(花の色は単色、おしべにも色有り)

現在の彩色(花の色はグラデーション仕上)

職人が色を見極め一輪一輪色を入れます

「夜桜」茶色の背景に彩色(2013年作)

色抜き

「色抜き」とは彫刻部分の色が背景よりも明るい色(明度の高い色)に仕上げた技法です。従来の軽井沢彫は茶色の単色でしたが、色抜きにより更に彫刻が浮かび上がるように表現でき、彫刻の奥行きを深める効果があります。また色抜きには強・中・弱と3パターンありお好みの明度でお選び頂くことができます。

色抜き有り

色抜き無し

里桜

里桜とは野生のヤマザクラに対し、観賞用に開発された品種を総称した桜で「ソメイヨシノ」が代表的な桜です。従来の軽井沢彫りの桜は形が決まった花を幾重にも重ねて表現していましたが、里桜は一つ一つ花の角度が違い、より写実的な表現をしています。2010年、彫師の飛田和健彦が色んなお客様に見てもらいたいという想いをこめて開発した桜のデザインです。

「里桜」2010年飛田和デザイン

里桜の彫刻の様子 通常の桜よりも手間がかかる

象嵌(ぞうがん)

一つの素材に異素材を嵌め込む工芸技法です。一般的に貝、牙、金属などが使われます。大坂屋の象嵌は主に貝象嵌を使用し、深い色合い木部に白蝶貝がアクセントで輝き散りゆく花びらの情緒を表現しています。

貝象嵌で花びら舞う様子を表現した

2009年桜舞うシリーズを発表

透かしテーブル

中央にテーブルランナーのように透かし彫りが入ったデザイン。どの席からも彫刻を眺めることができ、使用する部分は彫刻が無く、装飾と使い勝手を長年追求し、2014年に旧三笠ホテルにて行われた軽井沢彫組合新作発表会で木地師成田が透かしテーブルを発表しました。軽井沢彫りを彫刻し、新商品を提案し続ける大坂屋家具店では他社のデザインを模倣することはありません。

大坂屋家具店オリジナル透かしテーブル

中央の透かしのデザインが大坂屋オリジナル